ベトナムのコーヒー豆生産量は毎年世界第2位で、主要なコーヒー豆生産国として有名ですが、2024年初頭に出た統計によると、2023年のコーヒー豆生産量は減少しているとの情報がありました。調べてみるとベトナムの農業・農村開発省は、2023/24年(10月~9月)のコーヒー豆生産量が前期比20%減の147万トンになると予想しています。これは過去6年で最低水準です。ベトナム政府発表による減少の理由は、2023年春に発生したエルニーニョ現象による干ばつなどが影響して生産量が減少している。ロブスタ種コーヒー豆の国際価格の指標となるロンドン先物も、ベトナムの生産減が響いて価格が上昇しています。
あれ?ニュースと違う理由だ。「フェイクニュースか!」と調べてみると、NHKではベトナムのドリアンの生産量は、2023年に約60万トンと、前年比で7倍の増加を記録しました。売上高は約21億ドルに達しています。また、ベトナムのドリアンの農地は2023年に約13万ヘクタールと、前の年に比べて約20%増えています。ドリアンは高い値段で売れるため、コーヒー豆から転作する農家も増えています。ドリアン生産量は理由は高い値段で売れるためです。コーヒー豆に比べ利益は2倍以上だといいます。というニュースを流していました。現在webページでも確認できます。
確かにニュースの内容そのままですが、よくみると農地面積前年比20%増で生産量前年比7倍って計算合わないですよね。よく調べてみると、これはベトナムから中国への輸出量で国内全生産量ではありません。このようによく調べないでうわべの数字をまとめて報道するのは昔から変わっていませんよね。
さて、このニュースを聞いて数年前からコーヒー価格の値上がりが激しい理由を調べたくて、コーヒーの世界生産量についても調べてみました。
全世界コーヒー生産量年別推移
比較できるグラフとしては(株)AGF社が出しているのが2020年まででしたが、国際コーヒー機関(ICO)のwebサイトの資料には、2023年は1103万トン、2024年は1256万トンであり生産量は増えています。
下記グラフは各国のコーヒー豆生産量(単位は:万トン)
順位 | 国名 | 2022年 | 2021年 | 2020年 | 2019年 | 2018年 | 2017年 |
1 | ブラジル | 3,172,562 | 2,993,780 | 3,700,231 | 3,009,402 | 3,556,638 | 2,680,515 |
2 | ベトナム | 1,953,990 | 1,845,033 | 1,763,476 | 1,683,971 | 1,616,307 | 1,542,398 |
3 | インドネシア | 794,762 | 765,415 | 833,400 | 885,120 | 722,461 | 668,677 |
4 | コロンビア | 665,016 | 560,340 | 773,409 | 760,963 | 720,634 | 754,376 |
5 | エチオピア | 496,200 | 456,000 | 584,790 | 482,561 | 470,221 | 471,247 |
そして国別生産量でも概ねどの国も順調に生産量を増やしています。ベトナムについてもここ数年生産量は増えていました。先に記載したように2023年は天候による収穫量の低下で概ね間違っていないですね。
そもそもドリアンは、品種や栽培環境によって収穫までの期間が異なりますが、一般的に数年から十数年かかるのが一般的です。よって一年で急激に生産量が増えたのは完全な「フェイクニュース」です。
中国は農産物の輸入に関しては厳しく規制しており、中国共産党政府の政治的な許可をもらわないと輸出できないです。ベトナムは以前から少量のドリアンを中国へ出荷していましたが、2023年に中国政府の許可が下りたので前年比7倍の輸出量となったそうです。その辺を報道しないで検証なしのうわべの数値だけで「中国でドリアンが人気となり、ベトナムではコーヒー農園をやめてドリアンへ切り替えたのでコーヒーの生産量が落ちて、コーヒー豆の価格が上昇している」という偽のロジックをつくり報道しています。
そもそもなぜ中国でドリアンが急に人気になったかと言えば、プロパガンダです。中国で栽培していない農業製品を中国に輸出していい代わりに、隣国への工業製品の取引を活発にさせたい政治的思惑です。ですからSNS等でドリアンを宣伝していたからだとのことです。タイからのドリアン輸入額ももちろん増加しています。
NHKはこういった偽情報をいつまで流すのでしょうか。
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