英国財務大臣は今週の基調演説で、英国経済政策の要として国家間の自由で開かれた貿易を推進し、労働党政権はドナルド・トランプ次期大統領と直接衝突してしまう。
財務大臣は、毎年恒例となっている国会の初演説で、「成長を目指す」予算後の計画を概説する。現在官僚は、経済政策や外交政策の重要な問題で英国が直面する課題に対処する中、英国政府がトランプ氏圧勝の対応に奔走し、最終的に財務大臣は自由貿易の擁護のためにワシントンに戦いを挑むことを明らかにすると予想される。
この問題は、ウクライナ戦争への継続的な支援をめぐって大きく異なるアプローチとともに、トランプ次期大統領とロンドンとの関係の主要な試金石として急速に浮上している。金曜日に、米国への輸入品に高関税をかけると約束したトランプ大統領は、1月に再びホワイトハウスに就任する際、保護主義者のロバート・ライトハイザー氏に通商代表として戻ってくるよう要請した。
先週の大統領選の直前、ライトハイザーは自由貿易のせいで国内製造業が失われていると非難し、アメリカの巨額の貿易赤字に対する批判と結びつけた。このような人事は英国政府にさらなる不安を引き起こし、トランプ大統領が英国経済に甚大なダメージを与えかねない関税を課すという脅しを実行に移すのではないかという懸念を強めるだろう。
先週水曜日、ゴールドマン・サックスは、米国の関税引き上げの可能性を理由に、2025年の英国の経済成長率予測を1.6%から1.4%に引き下げた。国立経済社会研究所は、関税をめぐる貿易戦争は、トランプ大統領就任後2年目で、現在低迷している英国の成長率を0.7%と0.5%低下させるだろうと予想する。
キム・ダロッチ元駐ワシントン英国大使は、トランプ大統領が関税の脅威を実行に移すと予想している。ダロチは、イギリスとアメリカだけでなくEUとの関係にも影響を与えるとして、次のように語っている。
トランプ大統領はアメリカの輸入品すべてに関税を即座にかけ、『関税を撤廃して欲しければ、貿易のバランスを取り戻すために何か提案しろ』と言うでしょう。EUはほぼ間違いなく報復するだろう。そして英国は難しい決断を迫られるだろう。EUの報復関税に対抗するか。それとも、自由貿易協定(FTA)のような二国間協定を模索するのか?
「FTAは2017年同様、トランプ大統領から提示されることになるだろう。しかし、当時と同様、米国の最大の要求は、ホルモン処理された牛肉や塩素で洗浄された鶏肉など、米国農業セクターの低価格製品に対する英国市場への無制限のアクセスであろう。つまり、EU側につくか、自国の農業を犠牲にするかという厳しい選択になる。」
ウクライナについてダロッシュは、もしトランプが和平協定を支持すれば、ロシアは占領した領土を維持し、ウクライナはNATOに加盟しないと約束しなければならなくなり、イギリスは再びEUかワシントンかの選択を迫られるだろうと指摘する。
英国はアメリカの考えを拒否し、ウクライナへの支援を高めるためにヨーロッパを一致決断させるか、それとも何も聞かずに敗北を受け入れ帰国するか。
トランプ大統領の劇的な勝利により、国会では予測不可能なトランプに対して、キア・スターマー政権がどのように対応するのがベストなのか、激しい議論が交わされている。
元駐パリ英国大使で、同国初の国家安全保障顧問であるピーター・リケッツ氏は、スターマー首相は「あまりに困窮している」ように見えたり、トランプ大統領を懐柔することに熱心すぎたりするのは避けるべきだと述べた。「前任者たちにありがちな、ホワイトハウスのドアを最初に通ろうとするのではなく、トランプ大統領との接触を大切にすることだ。その危険性は、あなたが深く反対することをトランプがしたときに、あなた自身が恥をかくことにさらされることだ」。
また、トニー・ブレアとキア・スターマー両氏に助言してきたピーター・ハイマン氏は、労働党はなぜアメリカ人がトランプ氏に投票したのかについて教訓を得る必要がある。
イギリスでも似たような現象があった。あまりにも多くの人々がトランプ支持者を、彼が怪物であることを見抜けないほど愚かな 「欺かれた大衆 」の一員とみなしている。
「真実は、民主党は頭も心も失ったということだ。民主党は、高インフレと国境開放で優れた技術者(頭)になることに失敗した。そして、苦闘している労働者家庭が見てもらい、耳を傾けてもらえるようなストーリーを語ることに失敗した(ハート)。
「これが今、政権奪還を目指すアメリカの民主党と、勝利を成功に導こうとするイギリスの労働党の課題である。
「トランプの勝利は、1979年のサッチャーの勝利のように、政治の古いルールが根底から覆され、新しい進歩的なプロジェクトの積み木を、第一原理からレンガのように積み上げる必要がある瞬間となるかもしれない。
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