今回の記事は先日報告した「英国で石炭火力発電所全廃止」の後追い記事である。
英国のエネルギーシステム運営会社は、「今年は冬の電力供給が需要を9%近く上回る」と予想し、停電のリスクは減少するだろうと述べた。
イギリスにおける冬の停電リスクは、低炭素電力源への投資のおかげで、イギリス最後の石炭発電所が停止した後でも、過去4年間で最低にまで低下した。
国家エネルギーシステムオペレーター(Neso)は、ベースケースシナリオにおいて、イギリスの冬の電力供給が需要を9%近く上回ると予想している。
今月初めにナショナル・グリッドが政府によって買収された、明かりを灯し続ける責任を負うこの会社は、イギリスがより多くの蓄電池プロジェクト、小規模再生可能エネルギー、輸入電力を持つため、今冬の電力供給の余裕はより高くなると述べた。
世界最長の高圧電線でデンマークから英国向けに250万世帯分のクリーンな電力の輸入を開始して以来初めてとなる。
英国の電力をデンマークに輸出することもできるバイキング送電網は、柔軟で低炭素な電力網を構築することで、化石燃料からの脱却を目指す英国の戦略の重要な一部である。
英国の法的拘束力のある2050年の気候目標に向けたこれらの措置は、先日英国最後の石炭火力発電所であるラトクリフ・オン・ソアを閉鎖し、この発電所の引退による影響を相殺する以上の効果が期待されている。
2022年初頭のロシアのウクライナ侵攻によるヨーロッパ全体のガス危機の際、イギリスは発電所を稼働させるガスが不足した場合、電力を供給し続けるために古い石炭火力発電所をスタンバイさせていた。
しかし、今はEU全域のガス備蓄量は95%に達しており、この冬の懸念は和らいでいる。また、イギリスは冬の間、ノルウェーのパイプラインやアメリカやカタールからタンカーでガスを輸入し、天然ガス発電所や工場、家庭の需要を満たす見込みだ。
ネソ社によれば、今回の紛争はイギリスのガス供給を脅かすものではないという。
公営企業のディレクター、クレイグ・ダイク氏はこう語る。「当社のマージン査定は以前の冬より改善されましたが、リスクと不確実性を監視し続け、必要であれば、回復力を構築するための措置を講じるつもりです。
ネソ社は、政府、エネルギー規制当局、英国のガスシステムを運営するナショナル・ガスと協力し、供給の安定性に対する新たなリスクを評価していると述べた。
システムオペレーターは、ピーク時のエネルギー使用量を削減するために企業や消費者が支払うことになる需要柔軟性サービスを利用することを期待している。昨冬、約260万世帯と企業が、ナショナル・グリッドへの圧力を軽減するための支払いを受けた。
「我々と他のエネルギー業界は、この冬に万全の備えができるよう、常に様々な事態に備え続けていく」とダイク氏は語った。
日本でも最近は、太陽光発電の普及で夏の電力需要よりも冬の電力需要のひっ迫をよく心配されていますが、この記事でも記載されているように、電力供給元は幅広くエネルギー供給元を確保し、発電種類も多くすることが世界の流れだと考えます。それに追加し、島国である英国は海底に高圧電線を敷設しヨーロッパから電力送配電することで最悪の事態を回避しようとしていますね。確かにコストはかかりますが国民を安心させもしもの時には十分ペイできるコストと判断したのだと考えます。
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