英国も驚愕している。トランプの関税発言、世界経済への影響懸念を呼ぶ。

メキシコ、カナダ、中国の製品への関税がこれらの国々だけでなく、世界的な経済成長を脅かす恐れあり。

ヨーロッパの企業は、月曜日の夜にドナルド・トランプ氏がソーシャルメディアでメキシコ、カナダ、中国製品に関税を課すと約束した後、英国の米国向け売上への打撃を回避できるかどうかを懸念していた。

英国はまだトランプ氏の目を逃れたことを喜びながら、彼が北京や米国の最も近い貿易相手に怒りを向けるのを見守っていた。

トランプ氏は戦闘的な姿勢を見せ、2016年に初めて関税を外交政策の目的達成のための戦術として使用したときと同様だった。当時、関税は米国の国家安全保障政策の一環として、移民の制限や中国による米国政府データベースへのアクセスを阻止する目的で正当化された。今回、トランプ氏はメキシコ、カナダ、中国を麻薬密売人が使用する化学物質の供給元として非難し、さらに一歩進んだ。

トランプは、大統領令によって課される可能性のある貿易関税は、犯罪組織を支援するこれら3か国の政府を罰するために必要であり、「麻薬、特にフェンタニル、およびすべての不法移民がこの国への侵入を停止する時まで」継続されると述べた。

第一段階として、メキシコとカナダからのすべての輸入品に25%の関税を課すとトランプ氏は述べた。中国に対しては、トランプ政権がホワイトハウスに入った後に提示する具体的な要求に応じなければ、既存の関税にさらに10%を追加するリスクがある。ヨーロッパと英国もリストに載ると予想されていたが、多くの人が驚いたことに、トランプ氏はまず北、南、そして東に目を向けた。

英国とヨーロッパのINGリサーチ部門長クリス・ターナー氏は、「ヨーロッパがトランプ氏の最初の関税投稿で言及されなかったことは、大陸にとって歓迎すべきニュースかもしれない」と述べた。しかし、「トランプ氏がヨーロッパの自動車セクターやより広範な関税に注目を向けるのは時間の問題だろう」と警戒を促した。

また、彼は「いずれにせよ、中国へのさらなる関税の脅威は世界貿易の進む方向を示している」と付け加えた。その方向性とは、すべての国が報復関税を引き上げ、輸出品の価格が上昇することで、貿易が鈍化するというものだ。

トランプ氏の発表を受けて火曜日にヨーロッパの自動車メーカーの株価は下落し、ヴォクスホールの親会社であるステランティスが4.7%、フォルクスワーゲンが2.6%、BMWが1.5%の下落を記録した。メキシコでテキーラを生産するディアジオ(-1.4%)などの飲料会社の株価も下がった。

ポンドとユーロの下落も予想されており、たとえトランプ氏の関心が他に向いていたとしても、英国やドイツのような貿易国への影響は避けられない。英国とヨーロッパも標的になる場合、キア・スターマー首相はトランプ氏と手を組むか、ブリュッセルの報復に加わるかの厳しい選択に直面するだろうと多くの評論家が主張している。

ヨーロッパ国際経済政策センターの英国貿易政策プロジェクトのディレクターであるデイヴィッド・ヘニグ氏は、より洗練された戦略が必要だと述べた。
「英国の経済的利益のためにはEUとの貿易を円滑にすることが重要だが、理想的にはそれがより広範な貿易の犠牲にならないようにすべきだ」と彼はブログに書いた。

スターマー首相はEUとの商品の貿易におけるより密接な関係を交渉しながら、ロンドンが影響力を持つ金融規制について米国との対話を続けることができるだろう。彼はG20サミットで中国の習近平主席との会談でより厳しい姿勢を示し、トランプ氏を喜ばせる可能性があるが、これらのやり取りは政策の実質的な転換を示すものではなく、パフォーマンスに過ぎないように見える。

より広範な視点では、米国企業にも影響が及ぶことで世界的な経済成長が危機に瀕し、それが英国やヨーロッパに波及する可能性がある。米国は英国およびEUの輸出先として最大の市場だ。

いかなる形での報復も米国に打撃を与える可能性がある。昨年、カナダ、メキシコ、中国は1兆ドル（7910億ポンド）以上の米国製品を購入し、1.5兆ドル以上の商品やサービスを米国に販売した。INGは、トランプ氏の新しい関税が完全に消費者に転嫁される場合、米国消費者1人当たり年間2400ドルの負担になると試算している。

関税引き上げによるインフレ効果は、米国の中央銀行である連邦準備制度理事会が金利を高く維持せざるを得なくなり、ドルが他の主要通貨に対して強化される可能性がある。

UBSウェルスマネジメントのチーフエコノミスト、ポール・ドノヴァン氏は、米国企業がトランプ氏の貿易戦争初期を乗り切るために物資を備蓄する時間はほとんどないと述べ、消費者はすぐにその影響を感じるだろうと指摘した。
「関税は輸入時点で課税されるため、中国からの製品に10%の追加税が課されると、消費者はそれらの商品を店舗で平均4%高く支払うことになる」と彼は述べた。

「特に、メキシコ・米国およびカナダ・米国間で高度に統合されたサプライチェーンを持つ自動車分野などが非常に脆弱だ」と彼は付け加えた。

ヘニグ氏は、トランプ氏の新しい関税をメキシコ、カナダ、中国のすべての商品に一度に課すことは「米国経済を崩壊させる」だろうと述べた。輸入原材料や半製品への依存が大きく、追加費用が壊滅的な影響を与えるためだ。

自動車部品製造業者協会のフラヴィオ・ヴォルペ会長はニューヨーク・タイムズにこう述べた。「カナダで生産される車の半分は米国企業によるものであり、カナダで生産されるすべての車に使用される部品の半分以上が米国のサプライヤーからのものです。そして、原材料の半分以上は米国の供給源から来ています。我々はパートナーを超えて、ほぼ家族のように切り離せない関係です。」

カナダのジャスティン・トルドー首相、クリスティア・フリーランド財務大臣、ドミニク・ルブラン公共安全大臣は次のように述べた。「カナダは米国の国内エネルギー供給にとって不可欠で、昨年の米国の原油輸入の60%はカナダあることを考えてほしい。このことはトランプ政権が始動したときに議論を深めていきたい。」と述べた。