赤道から緯度で南北30度以内を俗に、カカオベルトまたはコーヒーベルトという。アフリカ大陸のコートジボアール、ガーナ、ナイジェリア、カメルーンは世界カカオ生産量5位以内の国である。(3位はインドネシア)カカオ豆生産に適したこの地域はカカオ豆農園が広がる。しかし2019年より上昇が始まり、2022年より急上昇している金価格の影響で、カカオ豆農園を売却して大規模な金の採掘がはじまっているのです。それは国の許可を得ておらず違法金採掘業者が問題を起こしているのです。
あるガーナの元カカオ豆農園で違法な金採掘業者が残したシアン化合物で汚染され、紅茶色に染まった廃水の池が点在する彼女の農園の荒れ果てた風景は広がる。
ガーナ西部にある27ヘクタールの農地には、昨年まで6,000本近いカカオの木が植えられていた。現在、残っているのは10本にも満たない。
農園を金の採掘とは知らずに貸した農夫は「この農園は私が生きていくための唯一の手段でした」と52歳の離婚経験者は涙を流しながら語った。「子供たちに引き継ぐつもりでした」。
長い間、世界供給の60%以上を占めるカカオ大国であったガーナと西アフリカの隣国コートジボワールは、今シーズン壊滅的な収穫量に直面している。
チョコレートの原料であるカカオ豆の不足が予想され、ニューヨークのカカオ先物は今年だけで2倍以上になっている。連日のように史上最高値を更新しており、この前代未聞のトレンドは収まる気配がない。
20人以上の農家、専門家、業界関係者がロイターに語ったところによると、違法な金採掘の横行、気候変動、セクターの不始末、急速に広がる病気といったパーフェクトストームが原因だという。
ガーナのココア販売委員会Cocobodは、これまでで最も悲観的な評価として、59万ヘクタールの農園が、最終的に枯死するかのように汚染していて、農園として再生できるとは思わないと推定している。
ガーナのカカオ栽培地は現在約138万ヘクタールあるが、ココボッド社によれば、この数字には汚染した木も含まれており、まだカカオを生産しているという。
「トロピカル・リサーチ・サービスのカカオ専門家、スティーブ・ウォータリッジ氏は言う。「もし転換点に達していなければ、ガーナで20年ぶり、コートジボワールで8年ぶりの最低の収穫量を記録することはなかったでしょう」。
市場に衝撃を与え、西アフリカのカカオ覇権の終わりの始まりを告げるかもしれない、簡単には解決できない騒動だと専門家はロイターに語った。それは、特にラテンアメリカの新興生産者に門戸を開くことになるかもしれない。
そして、西アフリカの何百万ものカカオ農家が痛みを伴う転換期に直面している一方で、この変化は裕福な消費者市場でも、おそらく今後何年にもわたって感じられることになるだろう。
調査会社のデータによると、米国でお祝い用の菓子を購入する買い物客は、店頭に並ぶチョコレートが1年前より10%以上高くなっていることに気づいている。
チョコレート・メーカーはカカオの仕入れを数ヶ月前から先物で確保する傾向があるため、西アフリカの悲惨な作柄が実際に消費者を直撃するのは今年の後半になるだろうと考えている。
「私たちが食べ慣れているようなチョコレートバーは、贅沢品になるでしょう。手に入るだろうが、値段は2倍になるだろう。」と予想している。
ガーナ農園の現地事務所によれば、わずか3年前、この地域のカカオ作付面積はおよそ38,000ヘクタールを誇っていた。今ではわずか15,400ヘクタールにまで落ち込んでいる。
数年前から違法採掘者が出没するようになったと政府関係者は認識している。汚染され、金の採掘を行った山は当局によって閉鎖され、農園のオーナーは、武装した警備員によって自分の農園にも立ち入りが許されていない。
ブルドーザーがカカオの木をなぎ倒し、違法な会社にやとわれた労働者はブルドーザーの後を掘り返した。有毒化学物質で汚染された使用不可能な土地、返済不能になったローンを抱え、農園のオーナーは頭を抱えた。警察に懇願したが、何の反応もなかったという。
地元警察署の警察官は、苦情を受けたが、その農場に警察官を送ったかどうかは覚えていないと言った。彼は警察の記録を参照することを拒否した。同じようにガーナ全土で、カカオ農園は地元ではガラムジーと呼ばれる金鉱採掘業者に土地を譲りつつある。
カカオ協会の職員は「我々は警察でも裁判所でもありません。カカオの木を破壊することは違法ですが、罰則は十分ではありません。破壊の規模に関する最新のデータはない。」と述べた。また、4年前に実施された調査では、2万ヘクタールのカカオがガラムジーによって失われていたが、5人の専門家によると、その間に採掘が急速に拡大したという。
協会関係者は「今や壊滅的です。カカオベルトのほぼ全域で起こっている出来事です。」
農園の乗っ取りは確かに暴力的なものもあるが、5人の農民とコミュニティ・リーダー語ったところによると、ますます多くの農民が喜んで売り手になっているという。
カカオ農家にとって、ガラムジーはより広範な不調の徴候にすぎない。2020/21年シーズンに100万トンを超える生産量のピークを迎えて以来、ガーナは低迷を続けている。今年の生産量はわずか58万トンに激減すると予測されている。
ある農家は、2015年には50袋のカカオを収穫したが、今シーズンの農場15ヘクタールからの生産量はわずか7袋に落ち込んだ。彼は再投資するための十分な収入を得ておらず、労働者を見つけるのにますます苦労している。「もし彼らが私の農場を貸してくれと言ってきたら、私はそれを売ります」と彼は言った。
このセクターの規制と振興を幅広く担う同組織は、負債が膨らんでおり、今シーズンは運営資金と作物の搬入に使用するシンジケートローンの確保に苦慮した。
肥料や農薬の配布は数年前に停止している。老齢化した樹木を若返らせる計画はほとんど進展していない。そして、多くの人々が存亡の危機と考えている、違法業者との戦いに敗れつつある。
この違反行為は、最終的に樹木を枯死させる前に、まず収量を減少させる。一度感染し、新芽が腫れると、カカオを植え替える前に農園を切り開き、土壌を処理しなければならない。
ココア協会は、アフリカ開発銀行から6億ドル、世界銀行から2億ドルの融資を受けて、被害を受けたカカオ農園の復旧に取り組んでいる。
ココア協会の広報担当者は、「作物の老朽化や病気の発生など、課題は山積しています。「しかし、それらに対処するための重要な介入が現在進行中です」。
専門家によれば、ガーナの再起計画でカバーされている67,000ヘクタールは、病気の蔓延に追いつくには程遠いとのことだ。さらに悪いことに、ココア協会によれば、違法な鉱夫が再生農場に侵入するケースもあるという。
また、世界最大のカカオ生産国であるコートジボワールでは、事態はほとんど好転していない。コートジボワールのカカオ農園の最大30%が感染していると推定している。「枯れた木は1シーズンだけ枯れるわけではありません。植え替えたカカオの木が成熟し、豆を生産できるようになるまでには、2年から4年かかるのです」。また、両国におけるカカオ生産の大幅な回復は、他にも大きな逆風に直面している。
ある研究では、コートジボワールのカカオ栽培に最も適した地域は、2050年代までに50%以上縮小すると予測している。降雨パターンはすでに変化しており、大雨が集中的に降る時期が増え、暑く乾燥した時期が長くなる。
「これはここ数年、私たちがすでに観察してきたことです」と彼は言う。
西アフリカが苦戦する中、現在の世界的な価格の高騰は、農家にとって他の熱帯地域、特に中南米でカカオを栽培する魅力的な動機となるだろう。2027年までにエクアドルがガーナを抜いて世界第2位のカカオ生産国になると予測している。また、ブラジルとペルーも躍進する可能性がある。
しかし、供給の空白を埋めるには時間がかかり、その間チョコレート愛好家はピンチを感じることになるだろう。活動家によれば、真の犠牲者はコートジボワールやガーナの零細農家である。「西アフリカの農家の状況は悲惨です。まさに壊滅的です。」
海外サイトより発信された上記のニュースから、本当にカカオの価格が上昇しているのか確認してみました。下記がカカオ豆の価格チャートです。(単位はドル/トン)
チャートによると2022年から急激に価格上昇が起こっております。チョコレートの小売価格は3倍にはなっていませんが、円安の影響もあり海外ブランドチョコレートは1.5倍以上の値上がりだと実感しています。
そこで、ニュース内容の通りカカオ豆の生産量は落ちているのか調べてみました。
少し欠落したデータがありますが、記載した票のインドネシア以外は全て西アフリカです。総生産量は2021年に比べて10%減少しています。コートジボアールやガーナは2023年に極端に落ち込んでいるので、記事にある様なことが原因だと考えますが、農業生産量に関しては、天候などの影響もあるので、10%程度では本当の理由なのかは判断が難しいところですね。この問題は各国の政府が対策を行わない限り、金の採掘は減らないと予想しますので、今後数年単位で注視する必要があると考えます。
コメント