横浜DeNAベイスターズは2023年3月14日に、ロサンゼルス・ドジャースに在籍していたトレバー・バウアー投手(32)と出来高含め総額300万ドル(約4億円)の1年で契約合意したことを発表しました。
トレバー・バウアー(Trevor Bauer)は、1991年1月17日にアメリカ合衆国カリフォルニア州ノースハリウッドで生まれ、大学は過去卒業生から14人のノーベル賞受賞者を輩出し、U.S. News Best Colleges ランキング(2022)で公立大学第1位、Forbes America’s Top College ランキング(2021)第8位、THE World University Rankings(2022)で第20位に位置するなど、世界的名門大学として知られるカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)出身です。
2009年のMLBドラフトで、アリゾナ・ダイヤモンドバックスから1巡目(全体3位)で指名を受け、プロ入りしました。メジャーリーグデビューは、2012年6月28日になりました。その後、クリーブランド・インディアンスやシンシナティ・レッズなど複数の球団でプレーし、MLBでは通算83勝69敗をマーク、2ケタ勝利を5度達成し、2019年にはサイ・ヤング賞の投票で5位の実績を残し、レッズ時代の20年にはサイ・ヤング賞を獲得しています。
バウアーは球団を通じ「今シーズン、ベイスターズでプレーができることになり、非常に興奮しています。日本プロ野球界でプレーをすることは私の夢であり、その夢をファンの皆さんの前でお見せすることができる球団として、ベイスターズ以上のチームはないと思っています。素晴らしいチームの一員となり、一緒に優勝を目指すことができる機会をいただいて、とてもうれしく感じています。選手、そしてファンの皆さんに会いたい気持ちで既に待ち遠しいです。横浜の街で会えることを楽しみにしています」とコメントした。
そんなMLBトップクラスの投手が日本でどれだけの結果を残せるか、大変興味が出てきたのでとりあえずMLBでの実績を分析してみました。
2021年成績
先に下記成績表の見方を説明します。
BB:四球 GB:被ゴロ K:奪三振 Dec:勝ち負け結果(年集計)
GSC:先発投手の試合運び(50点で始まり各対戦結果により加算減算) P:投球数
ER:自責点 H:被安打 R:失点 ERA:防御率 HR:被本塁打 Rel:救援成否 FB:被フライ
IP:投球回 TBF:対戦打者数
2021年はDV疑惑捜査による出場停止で3ヶ月の出場と通常の半分の稼働率ですので、総合指標は判断できませんが最多勝を狙える活躍だと考えています。防御率は2.59とチームエースクラスで、奪三振率が11.5と非常に高く、日本でこれだけの奪三振率を記録するのは近年では2020年-2021年の千賀 滉大選手ぐらいですかね。
MLBとNPBでは打者の思想が違っているので日本で同じ数字を残せるかは疑問ですがMLBでもトップクラスの奪三振率を誇ります。2022年NPBの先発投手奪三振率1位は中日ドラゴンズの髙橋 宏斗投手で10.34。ちなみに横浜市出身で2022年セリーグ最優秀投手の阪神タイガース青柳 晃洋投手の2022年奪三振率は7.32です。奪三振率だけでは成績に直結するわけではないですが。(参考に横浜Denaベイスターズの今永昇太投手は8.27です)
投球の傾向を図る指数としてゴロ/フライ比率を計算すると87/168=0.51でフライ比率は65%で典型的なフライピッチャーと考えられます。フライピッチャーの特徴は回転数の多い空振りの取れるストレート(フォーシーム)を主体としている点で共通している。長期間活躍している投手は奪三振率が高い事で、数値がそれを物語っています。しかし横浜スタジアムは12球団で一番狭いと言われており、平凡な外野フライがスタンドインの可能性があるので球場に合うかは心配です。
コントロールの質を図る四球率(BB/9)は3.3と以外に高くコントロールが良いピッチャーとのふれこみでしたが意外でした。
完投完封は無く、QSは14回、QS率は14/17=82%とエースピッチャーと呼べる数値です。このQS率の高さはチームにとって大変プラスになる数値で、優勝チームにはQS出来る投手が多い傾向です。
以上が2021年の分析結果ですが奪三振率とQS率が魅力でチームにプラスになる事を願っています。
2020年成績
2020年は新型コロナウィルス対策としてMLBは60試合での開催となり、本来のシーズンではないですが、最優秀投手に与えられるサイ・ヤング賞を受賞しています。次点にはシカゴカブスのダルビッシュ・有 投手が選出されているので日本人には残念な結果として記憶がある人は多いのでは。
奪三振率:12.3
ゴロ/フライ比率:57/101=0.56でフライ比率は63%
四球率(BB/9)は2.1
QS:9回
QS率:9/11=82%
短いシーズンでしたが、防御率が1.73と間違いなく最優秀投手と呼べる数値です。奪三振率が先発投手としては驚異の12.3 完投完封はありませんが全試合ほぼQS達成しているのが非常に良いですね。これがサイ・ヤング賞の決め手でしょうからね。しかし奪三振率が高いと完投向きではないのでしょうか。
2019年成績
2019年はクリーブランド・インディアンスからシーズン途中にトレードでシンシナティ・レッズに移籍しており、バウアーの経歴の中で最多登板(34)の年でした。クリーブランド・インディアンスでは最多勝ペースでプレーしていましたが、移籍後の成績はあまりよくありませんでした。
移籍前と移籍後でプレー内容が違ってきているので分析は難しいですが、1年トータルで分析してみます。
奪三振率:10.7
ゴロ/フライ比率:216/341=0.63でフライ比率は61%
四球率(BB/9)は3.5
QS:18回
QS率:18/34=53%(完封1回)
自身最多登板数でありながらシーズン中の移籍がどう影響したのか分かりませんが防御率が4.48と悪く、QS率もエースとは呼べない数値になりました。開幕当初は良かったのですが、5月がひどく6/7月には回復して良い成績を継続できるかと言うところで移籍となり、また勝てなくなってしまった感じですね。それでも奪三振率が高くエースピッチャーとしてのプライドは保たれた感じです。
以下が年度別成績表です
2015~2019で5年連続二桁勝利を飾っており、エース級のピッチングを続けていました。2020年は短いシーズンでしたが通常のレギュラーシーズンであれば、二桁勝利で最多勝投手になっていたのではなないかと想像しています。そして2021年シーズンもフルで出場していたら二桁勝利でエース級の活躍をしていたと考えても問題無いでしょう。(ドジャーズはウォーカー・ビューラー、フリオ・ウリアス 、クレイトン・カーショウが在籍しているので、チーム最優秀とまでは言えませんが)
さて、そんなトレバー・バウアー投手が日本球界でどんなプレーをするのか、ワクワクが止まりません。
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