2024年9月25日 英国最新ニュース
日本でも東京大学の大学授業料の値上げが決定しました。今後国立大学においては同じような動きがあると予想されています。
さて英国でも同様の議論がなされており、労働党の下院議員ピーター・マンデルソン氏は、英国の大学授業料を引き上げよと語っている。
各大学はインフレ率に合わせて学費を引き上げるべきだ、しかし経営的には必要だが、社会的圧力がありは「厳しい選択」を迫られるだろうと述べた。
ピーター・マンデルソンは、大学が直面している「深刻かつ悪化しつつある」財政的圧力を食い止めるためには、英国の学生が支払う授業料を引き上げる必要があると述べた。
労働党の下院議員であり、オックスフォード大学の次期学長候補でもあるマンデルソン氏は、政府が高等教育と学生財政のさらなる改革に着手する前に、国内の学部授業料を年間9,250ポンドから9,480ポンドに引き上げることが安定につながると述べた。(年間230ポンド≒46,000円の値上げ)
マンデルソンは次のように述べたている。 「イングランドの大学は変曲点に達している。財政的な圧力は厳しく、悪化している。」
マンデルソンは、将来の授業料はインフレ率とともに上昇し、年2.5%の上昇を上限とすることを主張した。しかしマンデルソンは、恵まれない背景を持つ学生の数を改善するため、大学にはさらなる支援が必要だとも示唆した。
「私は、国内の授業料に何らかの形でインフレ連動を導入することは、国の非常に厳しい財政制約と大学財政を安定させる必要性を認識した上で、公正なアプローチであると考える」とマンデルソンは述べた。「これは、学生にとって授業料が実質的に割高にならないようにする一方で、大学にとってはこの収入の価値を確保することになる。これは、大学財政を改善し、ローン制度を個人にとってより公平なものにするために必要な、さらなる改革に向けた安定化策となるだろう。
その見返りとしてマンデルソン氏は、大学は効率性を向上させるために「より厳しい選択」をする必要があると述べ、イタリアの国立大学では学生21人に対して教員1人であるのに対し、イギリスの大学では学生13人に対して教員1人であることを指摘した。
内閣のジャッキー・スミス技能相は、労働党大会の会合で、学生生活維持費の変更が検討されていることを明らかにした。「私たちは、生活費が学生に大きな影響を与えているというメッセージをよく耳にします。私たちが話したようなアクセスに関する変更を望むのであれば、維持費もその一部でなければなりません。今のところ、私が言いたいのはそれだけです」。
マンデルソンはまた、学生ローンのより累進的なシステムも要求しており、返済額は新卒者の収入の2%からスタートし、1万ポンド増えるごとに2ポイントずつ増加し、最高8%まで引き上げられる。
マンチェスター・メトロポリタン大学の理事長で、1月に退任するマンデルソン氏は、経済学者によると、累進制は、低・中所得者の返済額を減らし、高所得者の返済額を増やすことで、現在行われている制度(25,000ポンド以上の卒業生の収入の9%を徴収)と同様のコストがかかるという。
「これは、特に女性にとって有益であろう。看護師など、公共サービスに不可欠な科目の学位を取得する傾向が高いが、その給与は比較的低い。
経済学者で、保守党政権下で財務省と教育省の顧問を務めたティム・レウニグ氏は、労働党大会のフリンジ・ミーティングで、現在のローン制度を廃止し、卒業生が最低週10ポンドを支払うという案を支持すべきだと語った。
ロイニッヒは、学生ローンの40年の返済期間は「不合理」であり、20年に半減し、学生ローンには利息を付けないようにすべきだと述べた。その代わりに、雇用主は新卒者を雇用するごとに1%の割増賃金を支払うべきであり、新卒者は最低でも週10ポンド、収入に応じてそれ以上の返済をしなければならない。
マンデルソンは、高等教育機関の組織であるユニバーシティーズUKが来週発表する高等教育の「青写真」の中で、大学の研究とイノベーションに関する章を執筆している。
その中でマンデルソンは、シンガポールなどのような国家産業戦略の一環として、研究をより幅広い技術に集中させる必要があると主張する予定である。
青写真では、大学は政府の研究資金を増額する一方、外部パートナーやスピンオフ企業からより多くの資金を調達すべきとしている。
英国での議論は今後進んでいくと考えます。値上げしかしないというわけでなく、経済的に大学の学費を払えない家庭でも、奨学金により大学に入れて将来の返済が苦しくなくそしてしっかりと税金を払ってくれる国民を作るという考えは必要ですね。
日本でも奨学金という名の借金でなくて、政府が金利を肩代わりしてでも優秀な学生が、将来沢山税金を納めてくれる制度を議論する必要がありそうですね。
コメント